***** 旭山ユーミン *****
「THE LAST WEDNESDAY TOUR」が終わった。
このうそラジオを聴いてくれている人の中には、コンサートには行かなかった、行けなかった・・・そんな人も多いと思う。 もともと、コンサートには行かない・・・・という主義の人もいるとは思うけれど。
今回のステージに関して、いろんな言葉を挙げていくと「灯台」「麦藁帽子」「避暑地」「風」「砂」「波」「バカンス」「サーフ」「ビーチ」「ハワイアン」「台風」「稲妻」「海賊」「逗子」「晩夏」「記憶」・・・・・・そして「旭山動物園」。
そう、今ではKING of ZOOの名を誇る北海道の旭山動物園だ。
実は今回、ステージがふたつ用意されていた。ひとつは前方にあるメインステージ。もうひとつが会場のセンターあたりにこじんまりと用意された8畳ほどのプチステージ。
オープニングからメインステージで数曲やったあと、そのプチステージに移動するということだった。 毎回、観客の間を走り抜けるようにプチステージを目指したユーミン。
ユーミンがメインステージから降りようとする瞬間から、会場内はざわめいた。「ユーミンがどこかへ行こうとしている」 「なにが始まるの?」 と。そして多くの人が、ステージがもうひとつあるということに気づき始める。
席が後ろの人たちや、プチステージ周辺の観客たちが小躍りしている。「まさか!」 「やっぱり?」 「ここにユーミンが!?」 「すぐそこじゃん」 「どおする!?」 「最高———」と言う声までもが私の耳に飛び込んでくる。(妄想だが)
ユーミンがプチステージに到着し、まわりに手を振ると会場内のボルテージがグッとあがる。1万人のアドレナリンが宙を飛び交う。1万人のハムスターがいっせいにドーナッツ車輪をカラカラカラッと回し始めたような激しさ。
でもそれだけでは終わらない。ユーミンをのせたそのプチステージはグイーーーンと上昇するのだ。
プチステージを囲んで、皆ユーミンを見上げている。センターステージということになるので、皆が前から見れるわけではない。場所によっては、ユーミンの後ろ姿を拝むカタチになった人もいるはずだ。背中やふくらはぎ、おしりのラインなど、ふだんは見ることができない部分を見た人もいるだろう。
それはそれで貴重である。そんなユーミンとお客さんを見ていて・・・・・あ、なにかに似ている!!と思い出したのが、旭山動物園だった。
上にいるヒョウや猿を眺めることのできる素敵な動物園。見たことのない世界を感じられるそのワクワクドキドキ感。 プチステージはまさにそれだった。もちろん今までにも円形ステージや別ステージはあったと思うが、「見上げる」という行為はちょっとした現代キーワードでもあるので、私としてはナイスタイミング!!と座布団を飛ばしたいところなのだ。
お客さんが近いせいか、ユーミンのノリも庶民的になる。二丁目のママみたいな低い声で「いらっしゃら〜い」と歓迎の意を表せば、皆大爆笑。興奮ムードが一気に和らぎ、やさしい空間になった。やはり日本人は、『鍋を囲む』とか『焚き火を囲む』とか、囲み系に安堵感を覚える人種なのかもしれない。
アンプラグドスタイルで【やさしさに包まれたなら】をはじめ何曲かやったあと、ユーミンはこんなことを言った。
「シンガーソングライターなんて、曲を作っているときは家でぐだぐだの格好をしてやってる。できなくて悩むこともある。でも、いつでもこうやってステージから見た皆の笑顔を思い出して作っている・・・」と。
私もすっかり聴き入っていたため、その瞬間メモをとらなかったので言い回しは多少違うと思うが、今回のツアーにおいて、この場面が私にとって一番印象に残るものとなった。
ぐだぐだあってのステージ。
きっとそれを繰り返していくユーミン。
私たちも、自分それぞれの「ぐだぐだ」と向き合いながら、自分なりのステージに立ってゆかねば・・・・・・なんてちょっとだけマジメに考えてしまった最終日なのでした。