うそラジオ Podcast 松任谷由実はじめました

**** 苗場でもうそを。 ****

いつも強気な私だが、いささか肩をすぼめて「すみません・・」と言ってしまうときがある。これまでに何度言ったことだろう。ユーミンに対して。
それはコンサートが終わったあとのラジオ収録である。まだステージ裏ではスタッフがバタバタと働いている。会場だけでなく楽屋にも熱気が残っている。けれどもそこにはコンサートが終わった達成感だとか「終わったあ」という
安堵感だとかがあふれていて、私までもが「終わったあ」とつぶやきたくなるのだが、その流れに反してこっちは始めようとしているのだ。
皆は終わっているのに、こっちは始めようとしている。
それは意外と、肩身が狭い。ほんの何分か前まで走り回って踊って歌っていた人に、マイクを渡して喋れと言うのだから。
自分ならステージが終わったらベッドでマッサージでも受けながらグースカ寝るか、ビールをカーッと飲んでヘラヘラしたい。それか「終わったあとにラジオなんかやれん」とか言って外人ミュージシャンみたいにホテルの窓からテレビを投げたり。
でも、今のユーミンは仏のユーミン。(出典・オールナイトニッポンTV)  私が関わってからというもの、ステージ後の収録に関して「疲れてるからやりたくない」とか「今度にしてほしい」などの訴えがあったことは一度もない。
逆に「さあ、やろうやろう〜」とノリノリでマイクに向かってくれる。このひと言で私の「すみません・・」も安らかに天に召されていく。ネロとパトラッシュと一緒に。天使に囲まれて。
今回の苗場での収録も、つつがなく録ることができた。楽屋がわりにしているプリンスホテルの一室。その窓の向こうに見える吹雪、そしてゲレンデを背に、ロマンチックに・・・疲れを見せることなく、・・・言いたい放題。
そして、無事収録が終了した瞬間にユーミンは言う。
「さあ、飲もう飲もう〜」
嗚呼。
この人は、・・・ただ単にお祭りが好きなだけかもしれない。