うそラジオ Podcast 松任谷由実はじめました

*****コマーシャル ナウ! (ナウ ナウ ナウ)*****

アリさんマークの引越し社は、なぜあんなにも飯島直子を踊らせたがるのか。
♪マストにいきますと いい部屋きっと見つかりますと〜♪ この軽快なミュージックにのってポーズをとる照英は・・・・得なのか。

CMの踊りやポーズは、時になにを意味しているのかまったくわからなくて、それに至るまでいったいどんなプレゼンテーションが行なわれているのか見てみたい。そんな衝動にかられる立春である。

最近では「踊りCM」の王道・武富士の団体ダンスがすっかり影を潜め、非常に残念だ。消費者金融のCMは、借りて借りて感を出しすぎてはいけないらしい。以前ユーミンがそんな裏話をしていたっけ。業界内には庶民には知らされていない暗黙のほどほどラインの規定があるのだろう。

でも武富士にはそんなラインは必要なかった。借りて借りて感よりもインパクトを選んだからだ。武富士は娘たちを闇雲に踊らせた。黒のレオタードがジョー・リノイエが奏でる『シンクロナイズド・ラブ』に合わせて舞う。「なんで踊ってるんだろう」と自問しながら体を揺さぶっていたダンサーもいたはずだ。

なぜ踊るのか。百歩譲って言うならば、企業の躍動感を表現するためだろうか。もしかしたらあの踊りを見たらお金を借りたくなる、そんなダンス催眠がしかけられていたとか。それはそれでB級SF映画みたいでおもしろそう。

うそラジオのスタジオにもテレビがあり、なんとなくついていると皆でなんとなく見てしまったりする。その日もなんとなくぼけーっと見ていると、ユーミンが言った。

「あー、このCM好きー」

私が見たときには終わっていた。おじいさんとおばあさんが出ていたようだ。

「これね、おじいさんがいい味だすんだよ。自分の湯飲みに茶柱が立ってるのを見て、こっそりおばあさんの湯呑と替えるの。おばあさんは知らずにお茶を飲もうと思って湯呑を見ると『あ、茶柱』って言って喜ぶのよーーー」

ユーミンもたいそう喜んでいる。その姿は、まるでお茶の間の奥さんのようでもある。かわいいなあ、もお。いいオチがついてるCM。しかもそこに愛が感じられるCM。わたしもこの手のネタが好きだ。ユーミンの茶柱ネタを聞いて、すぐに私が今一番好きなCMのバージョン違いだと気がついた。ダスキンの「あなたの喜ぶ顔が見たい」というシリーズのものだ。

私が見たのは、小学六年生ぐらいの女の子といがぐり頭のお兄ちゃんのネタ。ふたりは部屋が同じ。お兄ちゃんは先にお布団に入っていたが、妹は夜遅くまで受験勉強をしていた。するとお兄ちゃん、もぞもぞと隣の妹の布団にもぐってニヤニヤしながら寝る。勉強が終わって寝ようとしていた妹はそれを見て『なんであたしの布団で寝てんのー!』と怒る。ニヤニヤしながら自分の布団に戻るお兄ちゃん。そして妹はお布団に入るのだが、冷たいはずのお布団が温かくなってる。つまり、ニヤニヤしながら妹の布団に入っていたのは決していやらしい意味ではなく、お兄ちゃんががんばる妹のためにお布団を温めていたということなのだ。そして妹は実際にお布団に入り『あったかーい』と幸せのひとことをもらし終わる。

うーん、愛だ。
映像の安っぽさもわざとらしくていい。そう、これが日常なのだ。一番身近な人による愛を見せるには演技とか画質ではないのだ。

私は感動すると15秒ぐらいで泣くタイプだが、このCMの感動がもたらしたのは涙ではなく微笑みだった。胸きゅんだった。涙が出ないスガスガシイ感動に感動してむせび泣く。

と、ここまでテレビCMの話を延々と書いたが、CMは地域によってまったく違うので、もしかしたら今までのCMを見たことがなくて私が書いていることがさっぱりわからないという人もいるかもしれない。でも断っておくがこれらは私の妄想ではない。関東では実際にやっているCMなのだ。知らない人は、すまん。通じなくて、すまん。つまらなくて、すまん。

コマーシャルといえば、また関東の話で悪いが東急田園都市線(旧・新玉川線。ユーミンが住んでいる二子玉川の駅がある路線)に乗っていたときのこと。吊り革の上をふと見上げたら見覚えのあるフレーズと顔があった。今回の収録場所でもある松任谷正隆氏が校長を務める音楽スクール・マイカミュージックラボラトリーの案内広告であった。

そういえばこの広告、去年も見た気がする。でも、何度見ても電車の中というあまりにも日常の中にあるとものすごくびっくりしてしまう。なぜならそれが、コンサート写真やCDジャケットのユーミンとは一味違う、一番身近なユーミンの写真っぽくて、すぐそこにいそうな気がするからだ。

正隆氏をはじめ、各学科の講師10人ほど・・・プラス・ユーミンの集合写真。ユーミンだけなぜかTシャツにサングラスで歯を見せて笑っている。サンフランシスコの不良みたいだ。広告には体験入学の日にち案内などが書いてあり、ああ、本当に学校みたいなんだなあとあらためて思った。

地下のスタジオでは苗場のリハーサルはもちろん、毎回のツアーリハーサルも行なうそれなりに広い音楽学校・マイカで、この時期にうそラジオの収録が行なわれるのは三度目だが、私はひとつ嫌なことがある。

リハーサルスタジオに行くと、必ずと言っていいほど貼ってあるのがメンバーやスタッフ用に大きな模造紙に書かれた曲順表。うっかりそっちに目をやってしまうと一曲目に何がやるか丸見えで、一曲目どころか全曲見えてしまったりするので私は毎回見ないようにがんばっている。

できれば私はライヴ会場で、イントロを聴いて「キャー」とか「ワー」とか、胸きゅんとかしたいのだ。
だがしかし、今回私は・・・見てしまった。うっかり。あの曲順表を。違う意味で「キャー」。

さて、今年の苗場、一曲目はなんだろうか。