*****良いおとしを*****
年末なのでバタバタしている。
私はバッタなのか?
ちなみに私は今、こたつに入ってみかんを食べながらという、実に日本人らしいスタイルでこれを書いている。蚊取り線香がキンチョーの夏・日本の夏なら、やはりこたつでみかんが日本の冬の代表格であろう。
こたつでみかん。こたつでせんべい。こたつで日本茶。こたつでうたたね。
こたつの中で靴下を脱ぐ。こたつの中で兄弟と足喧嘩。熱さを変えるツマミの微妙な調整具合。こたつで空想。こたつでいい雰囲気になる。こたつで・・・etc。
でも今ではこたつのある家は少ない。なぜみんな、伝統というものを受け継ぐことができないのか。こたつでうたたねして「やばっ、また寝ちゃったよ」というのは、勤勉な日本人の唯一怠惰な風習であったはずなのに。
私は、半径1メートル以内に必要なものをすべてそろえ、今年の冬もこたつを愛していこうと思う。そして自分の中の怠惰に磨きをかけるのだ。
さて。
今回の放送でユーミンは、この1年の表舞台を振り返ったので、ここでは裏舞台とやらを振り返ってみるとしよう・・と思ったが、どれが今年のことでどれが去年のことなのかよくわからないので困っている。たとえばアザラシの玉ちゃんブームは、ずっと今年のことだと思っていたがアレは去年のことだったように。
ユーミンに「おごってあげるよ」と言われ、クボさんたちとルンルンしながらキャンティについていったときのこと。メインの肉までたらふく食べて、さてお会計というときに、ユーミンがカバンの中をあさりながら「あーん、お財布忘れちゃったあ」と叫んだのは去年だったか今年だったか・・・。さっぱりわからない。
クレイジーケンバンドのケンさんとの「コバルト・アワー」のプロモーションビデオの撮影も、去年だったか今年だったか微妙だ。あのとき、撮影をちょろ見しにいったのだが、控え室で私はユーミンにあることを頼まれた。
「あ! いいところにオオカワさんが来た。これさーー、踏んでてくれない?」
そういって渡されたものを見ながら私は聞いた。
「これって、これですか?」
「そう、これ」
これとは、皮のロングコート。ビデオの中で着ている衣装なので見た人もいるだろう。あのときの衣装はすべてユーミンの自前でスタイリングも自分でやっていたのだ。その日のユーミンは、ミュージシャンでありスタイリストでもあった。だからこだわりもユーミン流。
「襟のところがさ、どうしてもクセでピンってたっちゃうの。ねかせたいんだよね。ねかせたほうがかっこいいんだよ。だから襟のところ、しばらく踏んでてほしいの」
まあ、そのぐらいのことは私にでもできるので快くお引き受け。というか、一生のうちでも【コートの襟を踏む】ということはなかなか頼まれることもないだろうから楽しい任務ともいえる。皮のコートを床に置きながら私は聞いた。
「ユーミン、これどこの?」
「ああ、このコートね、ヴィトンの」
「た・・高そうですね」
「うん。高いよ」
あなたはヴィトンのバカ高いコートの襟を踏んだことがありますか? 私はあります。20分ほど踏み続けていました。人生って楽しいですね。私の足の裏にユーミンのヴィトンのコート。ファッション界の下克上。あの日の記念すべきあの場面も、去年のことだったか今年のことだったかわからない。
確実に今年だったとわかる話といえば・・・・。
うそラジオのあと、買い物をして帰りたいのに現金の持ち合わせがないということで、くままろに三万円を借りたユーミン。くままろが帰り際、現金を入れた封筒をそっと渡すと、「どうもすみません!お借りします!」といって深々と頭をさげたのには驚いた。中学生みたいだった。部活の後輩が先輩に下駄箱の陰で必死に謝っているようだった。もしくは二等兵。
この1年いろいろあった。
去年のことだったかもしれないがとにかくいろいろあった。来年もユーミンのことだからいろいろあるだろう。そして私のことだから何があったのかますますごっちゃになる。
来年の今頃、おととしのことを書いているかもしれないが、それはそれで良いとしよう。
良いとしよう・・良いとしよう・・・良いおとしを。