うそラジオ Podcast 松任谷由実はじめました

*****洋服談議ナウ! ナウナウナウ*****

レディースパック部隊の続き話。
続きというか、思い出した話。
スタイリストの金沢さん・しずかちゃん、そして私の三人で、新手の新興宗教みたいにブツブツ言いながら洋服の整理をしているところへユーミンが戻ってきた。赤いバンダナすっぴんスマイルをキラキラと輝かせながら、

「もう少ししたら、テラスでお茶にしようね」

と笑うニコタマーヤなユーミン。
ニコタマーヤとは、シロガネーゼの二子玉川バージョン。高島屋の音韻も残しつつのハイソな主婦たちの俗称。
そんなニコタマーヤなユーミンのハイソなやさしさも、もはや新興宗教な私には通じない。もう少し・・なんて野暮なこと言わないで今すぐお茶にしてぇーーーー。と、髪をふり乱し叫んでしまいそうだった。

とはいえ、みんな根っからの洋服好きなので、実はそんなに苦ではない。量が多いってところが苦であり、いろんな洋服を見たり整理したりするのは率先してやりたいタイプ。ガサガサとクリーニングの袋を破りながら、これいいよねー、これ高そう、これかっこいいー・・などとたいそう楽しんではいた。

そんな中で私が特に好きなのがパンキッシュなジャケット。明るい水色とエンジっぽいストライプで胸元にワッペンがついているやつ。リセなかんじだが、もうちょっとロックっぽい。ずいぶん昔に着ているのを一度だけ見たことがあって、そのときもかわいいなあと思っていた。

「これ、すんごいかわいい」

私がキャッキャッ騒いでいたら、ユーミンは言った。

「あー、これね!! かわいいでしょ? でもね、これ本物なんだよ」

「本物??」

「そう。このスクールジャケットね、イギリスの学校の本物の制服なの!! だからうっかりコレ着てあっちの町歩くと、みんなに驚かれちゃうんだから!!」

「まーじーでーすーかー!!」

10代のギャルみたいな声を発するレディースパック部隊。一同のけぞる。マトリックス。

「驚かれるっていうか、変な人って目で見られるんだよ。あーー!!そういえば、昔あったんだ・・・・そういう話っ!!」

さすが記憶のイナバ物置!! 100年経っても大丈夫!!なノリで昔のことがよみがえるよみがえる。

「デビューしたての頃にさ、ライヴで着た衣装・・・・確かアレ・・・・古着屋で買ったんだよ・・・。ホットパンツのつなぎみたいなやつ!! それ着てステージやったらアメリカ人に超笑われた。恥ずかしいんだけど・・・・・・・それね、あっちの体操服なんだってーーー!! みんな体育のときアレ着てるんだってーー!!! あーーーっ、やっちったあーーーーってかんじ??」

頭を抱えてうねうねするユーミン。そして大笑いのレディースパック部隊。もうお茶なんていらない。笑ってりゃ生きていける。
ジェニファーロペスだってまさか体操着にブルマでは歌わないだろう。赤白帽なんかかぶっちゃったりして。アゴんところのゴムなめて「しょっぱいねー」とかいったりして。アンコールで三列目あたりに飛ばしたりして。

洋服の山の中でゲラゲラするのはなんとも心地良く、女の子っぽくてみんなして5才は若返った気がした。

そういえば、ユーミンも私ももうちょっと若かったころの話。ユーミンはフリースを誰よりも早く着ていた。今ではあたりまえのフリースだが、当時はその言葉すら知らなかったし誰も着ていなかった。正確には誰かは着ていただろうが、まわりで見たことはほとんどなかった。山男とつきあっていたら別だったろうが。

「これね、ペットボトルの素材でできてるんだよ。捨てられたやつをリサイクルして作るんだよ」

「そうなんですかー」

と感心してみせたが、心の中では「ペットボトル?? は??」という気分だった。意味がよくわからなかったのだ。なんでペットボトルが洋服になるんじゃい!! と。 餅ともち肌の関係ぐらいだったら理解できるが、洋服とペットボトルじゃねえ・・・。
当時はまだあまりユーミンにつっこみを入れる技を取得していなかったので、ユーミンの話しは、ただうなづいて聞くばかりだった。

当時着ていたパタゴニアの赤のフリースは、かなり着込んでいたようだ。家でだるだるなときによく着ていたと言っていた。ダマになるほど着たよ・・とも言っていたのでもう新しい家のクローゼットにはないのかもしれない。

でも、なぜか私は、あの真っ赤なフリースが好きだ。ユーミンぽくていい。
あのとき、ユーミンが私にフリースの説明をしてくれたかんじも好きだ。冬なんですの匂いがたっぷりして。
それは、ニッポン放送が有楽町にあったころのこと。
9年ひと昔、ってころの話。

あの赤いフリースがどうなったのか、ユーミンに今度聞いてみるとしよう。ダニももう食べないかもしれない・・・・・。