うそラジオ Podcast 松任谷由実はじめました

**** 楽屋でガクガク ****

韓国のホテルでも、私はパソコンに向かっていた。旅先だというのに終わっていない宿題と格闘するために。
一週間が経ち、私はまたある部屋でパソコンに向かって宿題と戦っていた。パソコン画面の向こうにはユーミンの姿。何の因果か、なんの無礼か、私はユーミンの楽屋で宿題をしていたのだ。場末のストリッパー小屋の楽屋で踊り子たちにまぎれてお絵かきをしている子供のように。
そこは「オールナイトニッポンTV」出演のためのユーミン楽屋だった。ユーミンをはじめ、マネージャーくままろ、スタイリストさん、ヘアメイクさんといったいつものコンサート楽屋と同じメンツに加え、他にいる場所がなかったので難民として私はそこに紛れることにした。
でもそれは明らかにある計算をしての行動だった。私は電源とテーブルが欲しかったのだ。そう、私は明日の朝までにあげなければいけない仕事を終わらせていなかったのだ。
私は電池が重いという理由で、パソコンから電池を入れる部分をとりはずしてある。よってコンセントから電源を取らないと機能しない。これで韓国で痛い目にあったのだが、そんなこと忘れていた。そもそも取り外した電池部分が家のどこにあるかがわからない。だから私がパソコンをするには電源が必要なのだ。そして落ち着ける空間も。で、ターゲットになったのがユーミンの楽屋だった。まさに夢の楽園。しかし、入ってしまえばこっちのもの。
「あの〜 宿題やってもいいですかぁ?」
おそるおそる聞くと、ユーミンは言った。
「いいよいいよなんでもやって。お好きに〜 寝てもいいよ〜 お好きに〜」
うへへへへ。作戦成功。
ユーミンがヘアやメイクを整えるのを眺めながら打つキーボード。スタイリストさんが衣装を確認している横で打つキーボード。くままろがにまにま笑っているのを見ながら打つキーボード。宿題もはかどるというものだ。
やがて楽屋はお弁当タイムに突入。焼肉弁当と五目なんとか弁当の2種類があった。
「どっちにしよう・・・」
真剣に悩むユーミンに、両方あけてどっちのおかずも食べればいいじゃないっすか・・と冗談で言ったところ、
「そおだね。うん、そおするよ!!」
と、本当に弁当ふたつあけ食いを実施。ユーミンの前は弁当パーティー。焼肉に魚に野菜と・・・あっちこっちほおばって実に幸せそうだった。
そしてそのあとは、みんなでBoy Meets Girlの熱唱。裏声になるあたりがまた良かった。意味もなくみんなキラキラと輝いていた。中学のときのバス旅行みたいだった。
そう。今思うと、あの日の楽屋はとても楽しかったのだ。意味もなくとても。
なによりうれしかったのは、もちろんこれだ。
『人の楽屋で宿題をするのが可能なことが証明された』・・そおゆうことだ。