うそラジオ Podcast 松任谷由実はじめました

****ああっググッ、ああっググッ****

キャンデロロを見た。
アイススケート長野オリンピック銅メダルのフィリップ キャンデロロだ。フランス生まれの30歳。
さすがに筋肉質。水色のジーンズ。太ももがっちり。髪の毛は栗毛で海賊系くるりんヘアー。氷の貴公子というよりもエグザスのロビーにいそうな感じ。

見たという表現はちょっと遠慮気味。かといってハグまではいかない。半径1メートル内にお互いが存在し、必然的に目が合い、私が陽気に「Hi!」と手をあげたら向こうも私にむかって手をあげて「Hi!!」と言った。そんな具合。たったそれだけだがキャンデロロファンが聞いたら、きっと卒倒。

ニッポン放送のインターネットで聴けるブロードバンド番組のゲストとして来ていたキャンデロロ。その関係で私がいる打ち合わせ部屋に彼はやってきたのだ。舞い上がっている社員もいた。「え?キャンデロロ??本物??」と目を潤ませている人もいた。残念ながら私はキャンデロロファンではない。というか、キャンデロロを知らない。ロロ、すまん。

槇村さとるのマンガの世界のアイススケートは20年越しで今なお読みふけっているが、実際のスケート競技を熱狂的に見たことはない。やっていれば見てしまうが、できれば見たくない。
あの競技は心臓に悪い。サッカーや野球や陸上競技などは最終的に結果とか時間内による勝負とかで、走り方にいちいちケチはつけないしボールの蹴り方とかポーズなんてどうだっていい。要は相手に勝てばいい。

でも、スケート競技や体操は違う。一瞬一瞬が勝負で、ジャンプするたびに「ああっ!!」という感情とともに見ている側の呼吸器官はググッと縮む。くるりと優雅に回ったかと思うと着地でボテッ。ボテッぐらいの派手な転び方ならまだいいが、中途半端にユラボテッとかされると息がとまる。 

もっと基本的なことを言うなら、テレビカメラの角度によってはリンクを大回りに滑っているとき、選手が柵にぶつかりそうに見えるときもあってハラハラする。体操の床演技の場合、全体のアングルが映されるたびに、選手が指定された線から出ちゃったらどうしよう、着地が決まってもつま先だけちょこんと線の外に出てたらいやだなあ、助走のときかかとがほんのちょっと出てたら最悪だなあと思ってドキドキする。

ああっググッ、ああっググッ、ああっググッ。それの繰り返し。

そんなビクビク競技だからこそ、技が決まったときの感動や美しさがあるのだろうが、私にはそれを延々と見守る強さはない。ああっググッ、ああっググッ、ああっパチン。テレビを消してしまう。

そんな肝ったまの小さい私にとって、シャングリラのステージは過酷だった。
ゆらゆらユーラが丸い筒と四角の箱を重ねてその上に立つシーン。しかも逆立ち。
妖精みたいな二人の兄ちゃんが銀のちっこいボールを二人羽織みたいにして上にあげたり取ったりするシーン。
お姉さんがでかいミラーボールの上に乗ってボールを転がしながら出てくるシーン。
空中ブランコでコーラスのティナさんが一番声を出して盛り上げるシーン。
神々の国でトランポリンの上を男性二人がポンポン跳ねてるシーン。その着地具合。

挙げていったらキリがない。
ああっググッ、ああっググッ、ああっググッ。それの繰り返し。スパスパに脳波チェックでもしていてもらえばよかった。結果データは30女のバイオリズムぐらいにあがったりさがったりしているはずだ。

特に、ゆらゆらユーラのゆらゆら具合を見るのは怖かった。間近で毎回見ているユーミンはどうなんだろう。こんなことを思うのは私だけなのか? そう思って聞いたことがあった。すると・・・

「そうなんだよお。こわいんだよお。ときどきホントにヤバイ!! って思うときもあるんだからあ」

と心のうちを話してくれた。
なんだあ、ユーミンもそう思っているんだあ・・と安心したものの、こりゃ大変だなあと思った。
あんなゆらゆら演技を毎回目の前で見なければいけないなんて・・・。寿命が縮まる。
丸い筒の上に四角い箱、その上で逆立ち。そこまではわかる。だが、丸い筒の上に四角い箱、その上に丸い筒、そのまた上に四角い箱、そしてその上に立って回転。というのは、わからん!!!!! いったい誰が考えたんだ、そんな無謀なことを。

ユーラは筋肉番付の逆立ち歩きレースにでも出て、賞金の荒稼ぎをするべきた。

今頃 ロシアに帰ってやっぱり筒on箱on筒on箱の上で回転をしているのだろうか。気になる。といえば気になるが、気にならない。といえば、気にならない。