*****手には職を 嘘にはラジオを*****
うそラジオに必要なものを考えてみた。
「ユーミン」「リスナー」「スタッフ」「スタジオとか音を録れる場所」「機材」「南国ムード」「微妙なヘラヘラ感」「ちょっとだけのやる気」・・・・そしてもうひとつ重要なのが「職人菓子」。
うそラジオの現場には、たぶん緊張感というものがない。言い切ってしまっていいのかわからないが、・・・・ない。
その元凶?を作った原因のひとつが、私はこの「職人菓子」ではないかとにらんでいる。
毎週スタジオに入ると、マネージャーくままろがスタバやコンビ二へみんなのお茶を買いに行ってくれるのだが、たしか最初はお茶だけだったような気がする。コーヒーとかカフェモカとかカフェラテとか。それがいつの日からか、おやつとしてチョコやおせんべい程度のお菓子も加わるようになった。でも、その程度なら良かったのだ。ユーミンのあのひとことが出なければ・・・・。
「お茶買いに行ってきますけど、特に欲しいものありますか?」
くままろの問いに対するユーミンの答えはこれだった。
「えっとねー、職人系のお菓子!!」
職人系のお菓子。これがいわゆるうそラジオ必需品の職人菓子のことである。最初ユーミンからこの言葉を聞いたとき、私は『米どころ新潟の手焼きせんべい』とか『この道50年の爺さんが作った柿ピー』とか、職人が己の人生をすべて賭けて作ったようなお菓子のことだと思い、実はしばらくそう思い込んでいた。
・・・が、ある日、うそラジオに遊びに来てくれた人にユーミンがおやつの説明しているのを聞いて、自分がずっと勘違いしていたことに気づいた。
「うそラジオはね、ウソのラジオだからのんびりやってるの。いつもこうやってみんなでお菓子とか食べてるんだよ。あ、これ職人菓子ね。職人菓子っていうのはね、今、新しい家建ててるんだけど、そこに来てくれてる職人さんに出す系のお菓子ってことなの。職人菓子!! いい響きでしょ?」
(職人のために出すお菓子だから職人菓子!! そうだったのかぁ!!)←心の叫び。
いつからか職人菓子にすっかり心を奪われたユーミンではあるが、もうひとり、職人菓子に魂を捧げた男がいた。東芝EMIの福岡さんである。一児の父で、風貌はリトル鶴光。運動会の花形種目のリレーでバトンを落とし水飲み場で泣いてる子の横にいき「気にしなくていいんじゃないかな」とそっと言いそうなタイプ。(偶然水を飲みにきたフリなんかしたりして)
そんな福岡さんが、くままろにかわって買いだしに行ってくれることがあるのだが、このリトル鶴光、ユーミンの「職人系よろしく!」というリクエストに大いに答えるのだ。
まぐろの乾き物みたいなほとんど酒のつまみじゃんか!!なモノから、抜群の塩味加減のおかき、これ食べ続けてたら塩分過多でやばいよ的なアメリカ菓子まで。
福岡さんが帰ってくると、みんなで今日の職人度合いをチェックしつつ、気がつけば収録もそっちのけでスタジオでお茶会がはじまり、 また湘南行っちゃったー!! ヒルズは今どうなのかね? このあとまた焼き鳥行っちゃう? などと井戸端会議ならぬ嘘端会議が延々とつづくのである。
それから常に職人菓子のレギュラーとして君臨しているのが、ごぞんじトッポ。トッポがキャバクラ嬢なら、ユーミンは上客。指名しまくり。ノルマぶっちぎり。今月も表彰。やったね、トッポちゃん。
「ねえねえオオカワさん、食べすぎかなあ」
ユーミンの前には、トッポの茶色い空き袋がふたつ。
「いや、ふた袋なら普通じゃないですかあ? そのぐらい食べちゃいますよ。だってあとふた袋入ってるでしょ?」
そういって私はトッポの箱をのぞいた。カラだった。内袋が四つ入ってると思っていたが、トッポには最初からふた袋しか入っていなかったのだ。
私「 ってことは・・・全部たべちゃったってことですね?? 」
ユ「うん。・・・・だめかなあ???」
私「うーーーん、だめではないけど、それはちょっと食べすぎかもぉーーー」
ユ「やっぱり??? そうかぁーーーーーーーーー。でも・・・・・・・まっ、いいか!! 食べちゃったし。 じゃあ、全部食べたところで・・・・そろそろ録りますか!!」
こうして、テーブルの上が小学校のときのお楽しみ会みたいな状態なまま「ドボチョーン」とうそラジオが始まるわけなのだが、ディレクターニワちゃんがドーパミン垂れ流し男なので、ユーミンが「始めようか?」と言っても、「KISS最高!! ギュイィ〜〜〜〜ン」とエアーギターをかき鳴らしていて、結局うそラジオはかなか始まらない。というわけなのです。