うそラジオ Podcast 松任谷由実はじめました

***** 後ろから前から *****

悲しいお知らせである。
テレビ朝日系列で放送中の【大改造!!劇的ビフォーアフター】が3月いっぱいで終わってしまう。この番組を見るために早足で帰ることもあった。この番組を最初から見るために【さんまのからくりテレビ】が終わったその瞬間にテレ朝にチャンネルを変えていた。
それこそ、「なんということでしょう!!」・・・である。(と、たくさんの人がこう表現したことでしょう)。悪条件の家が匠の手にかかると180度姿をかえて便利でいまどきな家になっていくサマは見ごたえがあった。
「すばらしい!!」と褒め称えることが大半だが、「この家族がこんな高い棚に壺なんて置く生活はしないだろ」とか「絶対に三ヵ月もしたらこの仕掛けは使わないな」・・・・と、匠には聞かせられないコメントをテレビに向かって吐くのも日曜の晩のゆがんだ楽しみのひとつであった。
苗場のユーミンの楽屋でも見た。
メイク中のユーミンの横でSPAを音読してあげた夜のこと。誰も見ていなそうなテレビには動物が映っていた。そしてあのメロディー。 おっとこれは【どうぶつ奇想天外!】だ。やばい!・・・・・私はおそるおそるユーミンに聞く。
「チャンネル、変えてもいいですかぁぁぁ?」
「いいよいいよ」
その返事と同時にチャンネルをテレ朝に合わせると、さっそく悩みを抱える家族の現状を伝える暗い生活風景が映っていた。するとユーミンは言った。
「あ!あたしもこの番組好きだよ!すごいよね〜これ!!」
思いがけない反応。ユーミンもたまに見ていると言っていた。家の50インチの大画面で。・・・・・・狭小住宅も迫力満点なことだろう。しかし、世の中には、手すりのない急激な階段だとか、激しい段差だとか、陽が当たらないだとか変な増設・変な場所にトイレ・変な形の部屋・・・・・そしてとにかく狭いせいで窮屈な暮らしをしている人が、こんなにもいるのだと番組を見るたびに驚かされる。
ユーミンもその窮屈っぷりを見ながら「こりゃ大変だよー」とか「あー、狭いよねーこれじゃあ・・」とつぶやいている。すっかり見入っていたユーミンだが、メイクが本格的になってきたらしく画面から視線をそらしてしまった。
それにしても、この番組が人を引き込むその強さは、なんといっても決めゼリフとあの緩急そろったBGMが1パターン化していることにあると思う。
他人の窮屈さを堪能させたら家を壊して匠が腕を見せ、予想もしない仕掛けのある家を作ってそこへ家族が帰ってくる。・・・それだけだ。毎回同じつくりだが、それが心地いいのだ。
加藤みどりの有名な決めゼリフ「なんということでしょう」に匹敵する影の決めゼリフにも注目である。
それが、江口ともみの「皆さんで推理してみてください」である。滑舌良く、さわやかに言うあの「推理してみてください」・・・・の一言で、「大変大変ってテレビ見て言ってるだけじゃなくて、あんたらもなんか考えなさいって。脳みそ使いなさいよ」・・と遠まわしに人格否定&脳みそを使うことで遠まわしに番組に強制参加をさせているのである。
この家がどうなるのかだけではなく、この家をどうにかしてあげたい。そう視聴者に抱かせたことこそが、この番組が成功した要因だったのではなかろうか。

メイク中のユーミンが、突然足を広げてバタバタやりだした。
「ど・・・どおしました?」
ユーミンは遠い目をして言った。
「あのさー、さっきのアレはさー、イスになるんじゃないかなあ。あの匠が作ってたレール!アレを引くとイスが出てくるの!・・・推理してみたんだけど。・・・違うかなぁ〜」
ものすごく無理のある推理だった。
私は思わず心の中で「イスじゃねえだろっ イスってことはねえだろっ」と突っ込んでしまった。江口ともみなら、きっとさわやかに喜んでくれたであろうが。